誰もやらないからアムコンがやる。

Episode2:くし刃は未来を切り拓く? ~重なる不具合~

目詰まりしない濃縮・脱水方式、開発軸は「スクリュープレス」

濾布式では機構的に避けることの出来ない「目詰まり」を起こさない製品の開発には、
濾布を使わない方式 への転換が基本方針となりました。
そして当時一般的に採用されていた5つの方式、
「真空」「遠心」「スクリュープレス」「フィルタープレス」「ベルトプレス」のうち、濾布を用いず動力の最も少ない「スクリュープレス」を基本方針にすることが決定したのです。

目詰まりを掻き出すくし刃


「目詰まり」を起こさないためには――。
寝ても覚めても、この事ばかりを考えていた創業者と
開発グループのメンバー。
1988年、彼らは1つの考えにたどり着きます。

目詰まりしてしまうなら
「何か」で掻き出してしまえば良い。

その考えは、スクリューをツメのようなパーツの積層で形成し、
スクリュー羽根のエッジで濾過体の目詰まりを掻き出すというもの。
スクリューとかみ合うように設計された濾過体と組み合わせることで、
「髪にくしを通す」ように目詰まりを清掃する社内通称「くし刃」方式。

この仕組みを実装した開発機は、
自社が管理を請け負う集合浄化槽に早速持ち込まれ、
実証テストを開始。
テストの結果は上々で、より良い工夫と指摘を求め、
その過程を様々な企業・研究所などに公開しました。

その甲斐あって開発機公開の段階から、この「くし刃」方式を
高く評価していた企業の販売協力を得て、1990年秋に初納入を実現したのです。

初納入を皮切りに、本格販売を開始した新型機は
『らせん状』や『渦巻き』を意味する"VOLUTEヴァルート"
という製品名を冠し、「ヴァルート濃縮機・脱水機」として
1991年4月に正式に販売を開始しました。

重なる不具合、「くし刃が折れる?」

上々の滑り出しに、開発メンバーをはじめ社員全員が、充実感に包まれていました。

この調子でさらなる改良を加えながら、
ヴァルート脱水機のシェアを拡大できれば、
日本の汚泥処理が劇的に変わる!

―そんな中、社内に1本の電話が鳴り響きました。

「・・・くし刃が折れた!?」

不具合を伝える第一報でした。その後も同様の問い合わせが立て続けに入ります。

どういうことだ? 何が起きている?

開発メンバー達はすぐさま現地へ飛び、不具合の検証にあたりました。
その結果、実際にフル稼働で機械を動かし続けると、
わずか数百時間で「くし刃」が折れてしまうことが判明したのです。

不具合を解決するため、様々な方法が検討されました。

  • くし刃の素材を変えて強度を上げてみては?
  • くし刃をテフロン加工して摩擦を減らせないか?
  • くし刃と濾過体の組立精度、重ね方を変えてみては?

・・・ありとあらゆる解決策の検討と検証テストが行われた結果、
絶望的な状況に開発メンバーはたどり着きます。

積層型の構造そのものが原因だ。

素材や表面加工、組み立て精度が、破損の理由ではなかったのです。
いくら精度を上げて組み立てても、この構造では
汚泥を掻き出すくし刃の部分に負荷が集中的にかかり、くし刃自体が折れてしまうのです。